断片的ナ語リ

中学12年生の読書感想文と日々の戯言です

「リカーシブル」を読んで

こんにちは。初めまして。

2018年が始まって早くも31日が過ぎました。本当に早いですね。

 

これから新しく読んだ本について紹介していきたいと思います。

記念すべき1冊目は米澤穂信さんの『リカーシブル』です。

 

リカーシブル

リカーシブル

 

この本のあらすじ

父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る―。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて地方都市のミステリーに迫る。

(引用: https://www.amazon.co.jp/リカーシブル-米澤-穂信/dp/4103014733)

 

目次
  1. リカーシブルの定義
  2. 主人公・ハルカの人物像
  3. 感想
  4. 作中の名言

 

  • リカーシブルの定義

あとがきによると、タイトルの「リカーシブル」は「recursive」に「able」をつけた造語らしい。直訳では「繰り返すことができる」

 

  • 主人公・ハルカの人物像

一言で言えば、ハルカは母親から愛されていない。虐待を受けているわけではなく、偽りの愛情を捧げられている。

物語の節々で母親が優しくハルカに接するシーンが出ているが、その全てが無理して作った愛情だと分かる。

また、ハルカ自身もそのことに気づいているが、波音を立てないよう理性的に行動する。

しかし、弟サトルを巡って事件に巻き込まれる中で、徐々にハルカの内面に変化が現れる。

 

  • 感想

物語の舞台が「過疎化の進む田舎町」ということもあり、自分の地元と照らし合わせながら読んでみた。

日本の田舎には独特の空気というか、暗黙のルールのようなものが蔓延っている。

そして「よそ者」への嫌悪感。「ウチ」と「ソト」という概念を持つ日本の地方社会を描いた作品だと感じた。

 

主人公ハルカはその違和感の正体を突き止めようと、自ら社会科の先生に質問したり、図書館で過去の新聞を調べたりする。

その行動力は一般的な中学1年生の女の子とはかけ離れているように感じた。

 

父親が失踪し、血の繋がらない母と少し要領の悪い弟と暮らすハルカにとって「家族」や「人生」について考えることは至極真っ当な13歳としての思慮だったのかもしれない。

 

 

  • 作中の名言

これからのわたしの学校生活がどうなろうと。

お父さんが二度とわたしの前に現われないとしても。

それらはどうでもいいことだ。わたしは生きていかなくてはならないし、何がどうであれ、結局生きるってたいへんなこと。 (p.514)

 

ハルカがこの町のカラクリの全てを知ったのは中学1年生の4月。少なくともこれからの3年間、ハルカはこの町で生きていかねばならない。

 

僕だったら。。と考えるとマイナスな思考に頭が埋め尽くされる。

ハルカのこの言葉には現実に向き合おうとする13歳の等身大の決意が見てとられる。

 

 

「生きる」ことの惨さと強さを感じさせてくれる米澤穂信の「リカーシブル」

機会があれば是非読んで見てください。

 

以上。次回もよろしくお願いします。