「リカーシブル」を読んで
こんにちは。初めまして。
2018年が始まって早くも31日が過ぎました。本当に早いですね。
これから新しく読んだ本について紹介していきたいと思います。
記念すべき1冊目は米澤穂信さんの『リカーシブル』です。
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/01
- メディア: 単行本
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この本のあらすじ
父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る―。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて地方都市のミステリーに迫る。
(引用: https://www.amazon.co.jp/リカーシブル-米澤-穂信/dp/4103014733)
目次
- リカーシブルの定義
- 主人公・ハルカの人物像
- 感想
- 作中の名言
- リカーシブルの定義
あとがきによると、タイトルの「リカーシブル」は「recursive」に「able」をつけた造語らしい。直訳では「繰り返すことができる」
- 主人公・ハルカの人物像
一言で言えば、ハルカは母親から愛されていない。虐待を受けているわけではなく、偽りの愛情を捧げられている。
物語の節々で母親が優しくハルカに接するシーンが出ているが、その全てが無理して作った愛情だと分かる。
また、ハルカ自身もそのことに気づいているが、波音を立てないよう理性的に行動する。
しかし、弟サトルを巡って事件に巻き込まれる中で、徐々にハルカの内面に変化が現れる。
- 感想
物語の舞台が「過疎化の進む田舎町」ということもあり、自分の地元と照らし合わせながら読んでみた。
日本の田舎には独特の空気というか、暗黙のルールのようなものが蔓延っている。
そして「よそ者」への嫌悪感。「ウチ」と「ソト」という概念を持つ日本の地方社会を描いた作品だと感じた。
主人公ハルカはその違和感の正体を突き止めようと、自ら社会科の先生に質問したり、図書館で過去の新聞を調べたりする。
その行動力は一般的な中学1年生の女の子とはかけ離れているように感じた。
父親が失踪し、血の繋がらない母と少し要領の悪い弟と暮らすハルカにとって「家族」や「人生」について考えることは至極真っ当な13歳としての思慮だったのかもしれない。
- 作中の名言
これからのわたしの学校生活がどうなろうと。
お父さんが二度とわたしの前に現われないとしても。
それらはどうでもいいことだ。わたしは生きていかなくてはならないし、何がどうであれ、結局生きるってたいへんなこと。 (p.514)
ハルカがこの町のカラクリの全てを知ったのは中学1年生の4月。少なくともこれからの3年間、ハルカはこの町で生きていかねばならない。
僕だったら。。と考えるとマイナスな思考に頭が埋め尽くされる。
ハルカのこの言葉には現実に向き合おうとする13歳の等身大の決意が見てとられる。
「生きる」ことの惨さと強さを感じさせてくれる米澤穂信の「リカーシブル」
機会があれば是非読んで見てください。
以上。次回もよろしくお願いします。